たとえば、毎日お気楽だった小学校時代に。
たとえば、初恋に燃えていた中学校時代に。
たとえば、仲間と部活に打ち込んでいた高校時代に。
“もう一度戻ってみたいなぁ” そんなことを思ったことのある大人の方、たくさんいるでしょう。
ご存知のとおり、残念ながらそんなことできないわけで、人生はみんな等しく一度きり。
でも、小中高校時代に戻ったかのような気分に浸れる場所ならあるのではないか? そしてどうせなら、母校を訪ねよ!という以外の提案をしたい。
ううむ・・・と、オアシスを求めて頭を抱えている我々のもとに朗報が舞い込んだ。
ぴったりなところが西伊豆にあるという。 これはもう訪問するしかない!
というわけで、三島付近から車を走らせること2時間弱。 おおいに山深いところにあるそれは、威風堂々という体で訪問者を出迎えていた。
その名も「やまびこ荘」
廃校になった大沢里(おおそうり)小学校の校舎を活用した町営の宿泊施設である。
廃校を利用した施設、最近はよく聞くしここ10年位でずいぶん増えてきたようだが、やまびこ荘は昭和51年に開業とのこと。
西伊豆町さん、さすが。先見の明!!
ちなみに平成23年にリニューアルしたそうで、開業37年も経っているのに新しく見えるのはそのせいである。
嗚呼、学校・・・ってな感じ
実は学校がそんなに好きじゃなかった(過剰に連帯感を要求されることとか、明るく活発でない=愚民みたいな考え方が出ちゃってる先生とか、面倒だなって思うことが多々あった)私ですら高揚してしまう不思議な雰囲気。
様々な何かが喚起され・・・。
自分も確かに子ども時代を経たという、当たり前だけど忘れがちなことを思い出す。
管理人、磯谷さんに聞いてみた
Q「メインの客層は?」
A「青少年育成のための施設を銘打っているので、課外学習や合宿などで利用の方が多いです。プールがあるので水泳部とか。予約も青少年の利用が優先です」
夏休みや冬休みなんかは、一般の方が予約を取るのが至難なほど人気とのこと。 我々がお邪魔した頃は長期休暇の時期を外れていたので学生以外の客が多かったが、家族連れや趣味の仲間、同窓会と思しき面々など、バラエティに富んだ客層が利用していた。
Q「今まで珍事件とかありました?」
A「グランドに鹿や猪が出ることなんかはたまにあります。あと、慌てたお客さんに呼ばれてお風呂に行ったら、モリアオガエルが卵を産んでいたこともあります」
自然豊かなところならではの珍事件。 過去におもしろいお客さんの訪れもあったそうだが、プライバシーの侵害になるので言えないとの回答。 巷で話題のバカッターなんかとは違い、客のプライバシーはきっちり守る。それもやまびこ荘の魅力のひとつ!
Q「やまびこ荘の強みとは?」
A「プールが温泉なので秋が深まるくらいまでは快適に入れて、喜ばれますね」
単なる温水プールじゃなくて、本当に温泉を引いているそう。 とってもぜいたくである。 湯気が立ち上っている様は、さながら露天風呂のよう。
プールのみの利用もできて、町民100円(小学生以下半額)、町民でなくても200円(小学生以下半額)という、お財布にやさしい設定。 リーズナブルすぎて運営側としては辛い面もあるそうだが、「お客様が喜んでくれる限り続けたいです」との管理人さん談。泣かせる話である。
Q「浴室の温泉の特徴は?」
A「39度の“ぬる湯”で、長くつかれます。それにかけ流しです。日帰り入浴のお客さんもいらっしゃいます」
当時浴室に誰もいなかったためご好意で撮影させていただくことになり、「カメラのレンズをドライヤーで温めるとクモリが軽減されますよ」と管理人さんから豆知識を入手したのだが、外気との温度差が激しすぎて残念ながらクモってしまった。 画像でお見せできず申し訳ないが、ほんのりひのきの香りが漂う、落ち着く雰囲気のお風呂だったことをここに報告する。
Q「いずねこ探偵社の読者に何かひとことあればお願いします」
A「ぜひ遊びにきてください!!」
常ににこやかで、たのしくお話してくださった管理人さん。 紙質やビジュアルにこだわった力作、「やまびこ学級新聞」なども手がけているハイパー管理人さんである。
ついに客室へ
教室を改装した客室に入る際には、廊下にある黒板消しを拝借して、ドアにはさんだ黒板消しが落ちてくるという懐かしいイタズラも再現できる。おいやめろよー、などと言いつつもうれしそうな姿。
教室だったはずの部屋に畳、そしてコタツ。
存分にほとばしる意外性。
まったりのんびりできる空間である。
やまびこ荘で出会えるギャップたち
ギャップにぐっとくる人って多いんじゃないかと思うが、やまびこ荘ではこんなギャップをたのしめる。
1.学校なのに浴衣!!!
制服が浴衣なんて奇特な学校はおそらくないはず。 これは文化祭の企画かな?なんていう錯覚におちいる。うきうき。
浴衣で学校のプール(しかも温泉!)を前にたたずむなんて、とっても非日常的。
2.学校だけど飲酒!!!!
時間になると放送(ちゃんと小学生が話している風に聞こえる!)で案内があってみんなで食堂に集まるという極めて学校っぽいスタイルの食事風景。でも、すごい鍋は出てくるし(夕食)、大人はその場でお酒も飲めちゃう。 校舎内での飲酒って生徒も教員も咎められる行為だよねと思うと、そこはかとなく特別感。
色鮮やかで豪華。
3.はじけてる校則!
第1条 第1項『給食のおばさんおねえさんのお手伝い』(原文まま)
第3条 第2項『消灯時間は午後10時です。夜は隣の教室の人に迷惑にならないよう小さな声で話しましょう。たとえお友達が面白いことを言っても「はーははは」パンッパンッパンッと大きな声で笑ったり手を叩いたりしてはいけません』(原文まま)
などなど、ちょいちょい笑かそうとしてくる。 町営なのにゆるふわ。
普通の校則は、簡単なことをわざわざ難しく表現してるような堅苦しさがあるけど、こういうユーモラスなのだと逆にスッと頭に入ってくるし反発心が薄まる予感。
4.おしゃれBOY尊徳!
勤勉の象徴「二宮尊徳(通称:金次郎)」も、やまびこ荘ではおめかしさん。季節やイベント毎に衣装をチェンジするというシャレオツ男子として活躍しているとか。
アイドルグループ嵐の二宮さんにも引けを取らない、西伊豆の二宮さんといったらやまびこ荘のSONTOKUで決まり!!
シャレオツ男子といえど、やっぱり勤勉精神のかたまりというイメージが強い尊徳氏。何かを表明したいときは尊徳氏の前で誓えば、あなたの印象もプラスになるかも!
告白なんかにおすすめ。
ノスタルジーな気持ちやギャップ萌えを十分に堪能したら、校則通りお部屋をキレイに整えて、名残惜しくも帰り支度。 来た時よりも美しく、を目標にせっせとお掃除。
いかがでしたか?
やまびこ荘とは、ささくれた大人の心をリフレッシュさせてくれる素敵な空間である。
魅力を実感するには、実際に行ってみるのが一番!
ぜひ足を運んでみることをおすすめする。
やまびこ荘まとめ
- 外観や内装はほわーっと懐かしさを感じさせてくれる温かみがある
- 管理人さんがとにかく優しくて縁の下の力持ち(食事時には食堂でも働いておられた!)
- かけ流しの温泉と温泉プールがラグジュアリー
- ギャップの宝庫
おまけ
おまけのノリでどうしてもお伝えしたい。尊徳氏と並んで存在感を発揮していたのがこの人物だ!
大木美瑠久さん(20才)
温泉につきものの、瓶牛乳の自販機にて発見した気になるお方。 “歌って踊れる歌手として活躍するカウガール”とのこと。 幼児体型な私にはまぶしいセクシーさ。うらやましすぎる。
そして美瑠久の牛乳(健全な意味)は、美味!!
モゥ、うますぎ!!!!!
しかし牛さんの都合により春まで牛乳販売はお休みのようなので、期待に胸をふくらませてしばし待たれよ。
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書いた人
あとり
「あ」が夫で被写体担当。「り」が妻で文章担当。 いつもアホなことばかり言ったりしたりしている新米夫婦。 記事と家庭の崩壊を防ぐべく、力を合わせてがんばる所存。
この記事は「いずねこ探偵社」にて2014年1月27日に公開されたものです。